冬の待ち人
今モスクワは夜はマイナス35度、昼間はマイナス28度という極寒・・・あっという間に凍ります状態らしい。パイプラインやガスの話は最近のウクライナへの天然ガス値上げ問題でわたしたちの話題にもよくのぼる。それとは話が違うが、モスクワでは街灯を消したりして、極寒期に上昇するガス使用量を抑えようとしているという。田舎のほうでは、市の中心部から送られてくるヒーティング(これぞまさにセントラルヒーティング)のパイプラインが故障したりするケースもあり、そういう場合には、家の家具を壊して薪をつくって寒さをしのぐらしい。
これは昨日インターネットも音楽もない、18世紀に建てられたBathの家に住む友達の家に遊びに行ったときに聞いた話。ディミトリスが面白がって、立ち上がり 「おりゃーーおりゃー!」と家具を鉈で叩き壊し始める身振りを初めた。「アンドレイー立てー!」 そしてアンドレイが座っていた椅子もものの見事に壊し、薪にして暖炉にくべる。
それにしてもなんとクラシカルなキッチン。庭にでると荒廃した空き地、無造作に隣の庭との境界線に並んだ石垣、そして暗い灰色の空がメディーヴァル(7~16世紀)な気分を高める。美味しいベーカリーでライがたっぷりはいったパン、そしてたくさんの果物を買ってきた。それらをお皿に並べる。温かいスープで体を温める。荒廃した庭を見ると雨がパラりパラりと落ちてきている。
ぎしぎしときしむ木製の階段を、皮のブーツで歩く音と、雨が屋根を打つ音がまた不思議な気分を高める。コートを手に表のとおりに出る。やはり 普通の家だよね・・・。
何もないこの家が気に入った・・・。一歩足を踏み入れると、時計の針は遥かな時間を逆戻りして、まるで時間を越えて誘拐された小さな探検家のような気分になれるのだ。
今度はカメラを持ってくることを約束して家路に着いた・・・。
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by eloundamigio_ii
| 2006-01-20 22:37